後5日で、大好きなあの人の誕生日。
戸籍上で統一して2日あった?誕生日は一つになった。

カウントダウンが始まる。


『Today is special day』


「う〜ん、何しょうかな?」

と悩むあたしは、彼女になったばかり。
今年の彼の誕生日は、あたしは次の日仕事がある。

彼も仕事で、きっとスタッフのみんなにメンバーに、友達に、家族にお祝いされて忙しいんだろうな。
あたしの入る隙間な…
いや、そんなこと考えてられないぞ!
作戦練らなきゃ!
去年までは、ファンの一人としてメッセージ送ってたんだから、今年はもっと頑張りたい。

でも、現実は仕事に追われる毎日。
彼女に成り立てのあたしは、彼のことまだよく分かってない。
なんかファンだった頃と差がない気がする。



いよいよ明日かぁ…
携帯を取り出して、メールを打つ。

[今日もお疲れ様です。
明日は何時頃会えますか?最後でいいから、会いたいな。明日早番だから、先に眠りま〜す]

結局決まらず、明日の仕事に向けて休むことにした。




翌朝。
携帯のバイブアラームで起こされる。
時間に追われるように、朝の支度を慌ただしく済ませる。

職場に向かう途中に、携帯を家に忘れたことに気付いたが戻っている時間はない。
携帯を気にしつつも、あたしは仕事を始めた。





夕方。
勤務時間が終わり、あたしは定時で上がらせてもらうことにした。

帰り道、スーパーに寄ったついでに、少し足りない材料を買う。
ロウソク5本セット一袋しかなかったけど、「時間ないからいいや」とそれを購入。

そして家に戻ると炊飯器にスポンジケーキの生地を流し込みスイッチを押す。
スポンジケーキが出来た頃に、取り出して冷ます。
出来上がったら取り出して、冷ます。
次は生クリームを泡立てて、フルーツを食べやすい大きさにに切る。
途中で休憩しつつ、お弁当を食べる。
そしてお腹いっぱいになったあたしは、テーブルの上で眠ってしまった。




携帯の着信が鳴り、あたしは目を覚まして、携帯を探す。
あっ!そういえば、携帯忘れていったんだよね。
今朝。

「ん…今何時?誰かな〜」

携帯に手を伸ばそうとすると着信が鳴りやんだ。
あたしは携帯を開いてお知らせを、チェックする。
携帯には昭仁くんからの着信とメールでいっぱいだった。


[今日は新曲の雑誌の取材とかあるよ、また連絡するね]

[スタッフや晴一、サポメンのみをなにお祝いしてもらっていました。
何時になるかわからないけど、えぇ?]

とか。
今は21時。
あたしは急いで電話をかける。


「もしもし、ごめん携帯出れなくて…」

「今、んちの家の近く走ってるんじゃけど、会うのどうする?」

「スタッフさん達のは?」

「抜け出して来たんよ」

「あたしんち、来てもらえる?」

彼から返事をもらい、あたしは生クリームをもう一度泡立てて、冷蔵庫からフルーツを出す。
スポンジに覚ましていたシロップを塗っていると…
玄関のチャイムが鳴った。



間に合わなかった…。
形だけでもケーキ完成するはずだったのにな。
玄関の鍵を開ける。


「待った?」

あたしだけのために向けられた、昭仁くんの優しい声と笑顔。
それを見た途端、思わず涙が出てしまった。
彼はそんなあたしの様子に慌てて玄関に入って、あたしを抱きしめてくれた。

「どうしたん?。寂しかった?」

抱きしめられて、落ち着いてきたあたしは答える。

「あたし彼女になって、初めての昭仁くんの誕生日だからちゃんとお祝いしてあげようと思ったの」

あたしの言葉に彼は相槌を打つ。

「でも、いい案浮かばなくて。
スタッフさん達とケーキたくさん食べるんだろうなと思ったんだけど。
手づくりしてみたくって…。
でも、間に合わなかった…ごめんね」

彼はあたしの体をゆっくり離して、優しい笑顔を浮かべる。

「ちゃんとわしのこと考えてくれて、
仕事も大変なのに頑張ってくれた。それが大事じゃけぇのぅ」

とおでこにキスしてくれた。

あたしに力をくれる言葉・瞳・しぐさ。
涙も吹き飛んじゃうよ。



「おじゃまするね」

と昭仁くんは、あたしの手を引いてリビングに向かう。
キッチンのケーキを見て

「もう、ちょっとじゃ!完成させるぞ」

と言った。
あたしは、予想もしていない出来事に驚きつつも頷いてケーキ作りを再開した。




二人で作るケーキは、どんな小さい作業でもなんか楽しくてあっという間。
みるみるうちにケーキが出来上がっていく。



「出来た。のぅ、試食しょうや!」

「でも、ケーキ飽きるくらい食べたんじゃない?
無理しなくていいよ…嬉しいんだけどね」

「今日食べることに意味があるんよ。出来立てのが一番おいしいしのぅ」


「そうだよね」



あたしはケーキに立てたロウソク3本に火をつける。
そして、電気を消して"Happy birth day"を歌った。

歌い終わるのと同時に、ロウソクを吹き消す昭仁くん。

「お誕生日おめでとう」

やっと言えた、一番いいたかった一言。

「良かった〜、全然"おめでとう"って言ってくれんけ」

あたしは今まで一言もお祝いの言葉を言ってなかった。
それだけパニックだったのかな?

「じゃ、切るよ」

あたしはケーキを4等分に切って盛りつける。
小さめに作ったから、4等分でもそんなに大きくないんだけどね。
そして、グラスにワインを注いで乾杯をする。

「お、おいしい!」

ケーキを一口食べたあたしは、思わず呟く。
今まで食べたどんなケーキよりも、二人で作ったケーキはおいしかった。

「のぅ?正解じゃろ!二人の思い出も増えたし。
これからもこんな風に増やしていけばいいんじゃから」

あたしはその言葉に、笑顔で頷く。





食べ終わったケーキの皿等の食器を流しに運んで、洗い物を洗いながら昭仁くんにあたしは言う。

「なんかあたしが喜ばせてもらってばかりで…」

と言い終わらないうちに

「一番近くにスペシャルがあるけぇ〜」

と後ろから抱きしめられた。


明日も仕事だけれど、まぁいっか。
あたしは彼の手に自分の手を重ねてぎゅっと握りしめた。







END


原案 04/10/10 手直し12/12    UP 05/10/10


☆昨年考えた夢小説のプレゼントです。金魚様に捧げたものです。
 いかがでしたか?感想待ってますよ〜