『鉄板コミュニケーション4』

  思わず「好きかも」なんて呟いてしまった、あたし。
  食べづらいし、このムードを取り払いたくてあたしは言う。

「作りませんか?お腹減っちゃったんですよ」

「そうね、じゃ広島焼きからどうぞ」

  あたしは油を敷いて、生地を鉄板の上に流し込む。
  フライ返しを二つ使って、生地をなんとかひっくり返す。
  野菜や肉を炒めて、隣でうどんを炒める。
  生地に具を乗せていく。

「あ〜もう、卵〜。焦げちゃう」

  と、あたしは昭仁さんに言う。

「あ、はい」

  って指示に従う昭仁さん。

「あっ、すみません」

「ほら、ほんと焦がしちゃうよ」

  あたしは言われるまま、卵の上にさっき作った具を乗せる。
  上手くひっくり返せて、ソースにマヨネーズ、鰹節をトッピング。

「上手く言ったんじゃない?」

「…すみません。」

「さっ、食べて。熱いうちに」

  二等分にして、皿に盛りつける。

「……」

「どうしたん?」

「…なんか恥ずかしいんですけど。見られながら食べるの」

「あっ、すまんね」

  と昭仁さんはお好み焼きを作り始める。

  どうやら大阪焼きらしい。

  具を交ぜて鉄板に流し込む。
  あたしはその手捌きに夢中になる。

  後は待つだけみたい。


「どう、うどんは?」

「えっ、美味しいですよ。そば派ですけど」

「ふ〜ん。ちゃんはよく来るの?ココ」

「えっ、時々。美味しいですからね」

  とごまかす。


  だって、「あなたを待ってるために常連でした」なんて言えない。
  痛いファンを丸だしじゃない。
  美味しいから、来るのは本当だし。


「そうなんだ、好きなんね」

 

  好き?


  何が?


「えっ?」

「お好み焼き。さっき、わしの焼いてるとこ見てたもん熱心に。研究?」


  お好み焼き…ね。
  良かったというか、残念というか。

  見てたのは手捌きで、顔見てたらやばかったかな?
  しかし、ただのお好み焼き好きとインプットされたのかしら?
  それも寂しいな。






「ごちそうさまでした。すみません、おごってもらって」

「わし年上だし。それに、こうして再会ってなかなかないしね。」

「そうですね、また会えるなんて夢かと思いましたよ」

と、答えるあたしは心では焦っていた。

  連絡先聞いたら困るんだろうか?
  次は公式な場しか会えないかもしれない。
  チャンスは今しかない。
  でも、なんて思われるんだろ?
  あ〜どうしょう!
  お酒飲んでおくべきだった?


ちゃんって、口固い方?」

「えっ、どちらかというと」

「ファンの子には内緒にしてほしかったりするけど、また食べに来ない?」

「…えっ?」

「お好み焼き。好きなんでしょ?」

「は…はい。ぜひ」

「じゃ、連絡先交換しょっか。すぐは会えないかもしれないけど」



  なんて願ったりな展開。
  連絡先を交換してあたし達は自宅に向かうことにした。


「じゃ、またね」

  その一言が心地よくて、あたしは思わず顔が緩んだ。






                                 to be continud…






原案 06/03/05.12.18 UP 06/05/14



***今後の二人の関係は?お楽しみに☆