『お留守番』


「もしもし、?わしじゃけど」


愛しの彼からの着信メロディが鳴り彼からの電話、私はウキウキで電話に出た。

「昭仁君、久し振りだね」

「そうね、元気しとった?」

久し振りの彼の声。
思わずにやけてしまうよ。

「ところでさ、明日から三日間予定ある?」

えっ?!デートのお誘い?お泊りかな?

「空いているよ、何かしたの?」

自然と気持ちが高まる。
  なんだろう?とワクワクする。

「犬とか大丈夫じゃっけ?」

犬?何か動物のテーマパーク行くのかなぁ?
  ペットショップとか行くのかな?

     「えっと…大丈夫だけど…」

     「犬預かって欲しいんじゃけど。今からそっち行ってえぇ?」

     「…構わないよ、うん、じゃ待ってるね」

  と答えて電話を切る。
  だいたい分かったけど、犬かぁ…でも昭仁君に会えるのは嬉しいかな。




  30分ほどして、玄関のチャイムが鳴る。
  返事をしてドアを開けると、昭仁君がニコっと笑って"久し振り"と言った。
  もう、久し振りの再会に思わず抱きついてしまう。

     「ラブラブじゃね〜」

  と聞き覚えのある声に驚き、離れると昭仁君の後には晴一さんが立っていた。
  生晴一さんはライヴ以来だよ。

     「えっと…まずはお入り下さい」

  と私は二人を中へ通す。



     「いいの?彼女の部屋に入っても」

     「大丈夫よ。わしと晴一の好みはかぶったりせんし」

     「しっかし、昭仁だらけじゃね。たまにわしやTamaもおるけど」

  と部屋に貼られたポスターを指摘する、晴一さん。

     「そりゃそうよ。わしのかわえぇ彼女じゃけ。のぅ、

  と私にスマイルする昭仁君。
  うわぁ〜そのスマイルに弱いんだってば〜。
  私の顔が染まり始めると晴一さんは

     「はい、はい。ご馳走様です」

  と言って

     「早速本題なんじゃけど…」

  と話し始めた。 





     「というわけなんじゃけど、どう?別に無理しなくていいんじゃけど」

  と私が入れた紅茶に手を伸ばして晴一さんが微笑む。
  長いツアーの間、預かってもらったり、連れて行ったりしているらしいんだけど。
  今回は預かってもらっている所が都合が悪いらしい。
  オフも挟むから昭仁君がスゴロクに会ってみたいと言ってた私に声をかけてみたら?と提案されたそうだ。
  前に
     「犬飼ってみたいけど、おためし期間欲しいなぁ…」
  と会報を見ながら私が言った何気ない一言を、昭仁君は覚えていてくれたらしい。
  その一言を覚えていてくれた昭仁君の気持ちも嬉しかった。

     「いいですよ。私で良かったら」

     「そう?じゃ、よろしくね」

  とスゴロクの性格とか、餌の時間とか初心者の私に教えてくれた。
  晴一さんはスゴロクと戯れて名残惜しそうに

     「じゃ、いい子にしとってな」

  と言って、わたしに"よろしく"と言って帰って行った。




  昭仁君の手料理をご馳走になって、のんびり二人で話していると

     「やっと二人っきりになれたけど…」

  と昭仁君が言った。 
  スゴロクは疲れたのか、気を使ってくれたのかソファで眠っている。

     「私もお留守番だね。明日も移動だもんね。そろそろ昭仁君も行かなきゃね…」

     「そんな寂しい顔せんといて。わしだって同じよ」

  とぎゅっと抱き締めてくれた。

     「うん、大丈夫。行ってらっしゃい!おやすみ」

     「おやすみ、連絡するから」

  とおでこにおまじないのキスをして昭仁君も帰って行った。
  寂しいけど、おまじないで乗り切るぞ!スゴロクを撫でて私はそう思った。




・・・・・・・さすが晴一さんの犬だけあって、
       しつけがしっかりされていて私が困ることなく、寂しい思いもすることなくあっという間の三日目・・・・・・・・・・・



   
     「、ただいま」

     「ちゃんただいま、スゴロク元気?」

     「お帰りなさい晴一さん、スゴロク元気ですよ〜。
      昭仁君お疲れ様。どうぞ、コーヒーがいいですか?」

     「いいの?じゃ、お邪魔します」

  と晴一が玄関で靴を脱ぐ。
  彼女はわしに一言"お疲れ様"と言ってキッチンに向かってしまった…。
  立ちすくんでいるわしに晴一は言う。
 
     「なんしょん?入ったら?…わし、帰った方がえぇ?」

     「いや…休んでいけばえぇんじゃない?!」

  とわしは目も合わせられない。
  こんなわしの気持ちもばれているんじゃろう。
  わしは晴一と目が合わせられず、目の前を通り過ぎる。
  すまん、晴一。



  その後も、この三日間のスゴロクの話題で盛り上がる二人。
  わしは一人寂しく、彼女の入れたコーヒーを飲みながら、録画を頼んだサッカーの試合のビデオを見る。

  入ろうとすれば二人の輪に入れただろうけど…
  入りたくなかった。
  …わしが提案したのに、一人で嫉妬して恥ずかしかったから。
  スゴロクが察してか、わしの足元にいてつぶらな瞳で見上げている。

     「わしは大丈夫よ。お前(まぁ)が嫌いじゃないけ。
        お前(まぁ)は飼い主に似たん?わかるんじゃろ?」

  頭を撫でてやると嬉しそうに尻尾を振るスゴロク。

     「ちょっと、羨ましかったけどのぅ。とおったんじゃもんのぅ」

  すると、

     「晴一さんも羨ましかったんでしょ?」
 
  と声が。

     「わっ、びっくりさせるなや。晴一か」

  すっかり世界に入ってしまっていたのか、スゴロクが話したかと思った。

     「い、いつからおったん?」

     「"飼い主に…"あたりから。安心せぃ、ちゃんキッチンだから」

     「ふ〜ん、あっ、そう」

  とわしはまた晴一の顔が見れない。
  そんなわしの肩をポンと叩いて

     「さぁ〜てとそろそろ帰るか、スゴ。いい子じゃね、ちゃん。
        楽しかったみたいよ、スゴロクとの三日間。
          途中から昭仁自慢で参ったけどのぅ。わしはスゴロクがえぇわ」

  と笑って

     「じゃ、ちゃんどうもね」

  と晴一は帰って行った。





     「行っちゃったね」

  彼女がわしの隣に座る。

     「そうね。…録画…ありがとう」

     「うん。お帰りなさい」

  と彼女がわしの肩に頭を乗せる。



  さっきまでのイライラはどこかに行ってしまったような、待っていた言葉。
  "お帰りなさい"の台詞で、わしの表情が穏やかになっただろう。

     「ただいま。どうだった?お留守番?」

  と三日間の話しを聞いてあげよう。
  晴一には後で謝っておこう。
  そして、ありがとうって。






                                          END





原案’05/05/05、06/03、06/12、06/18      

UP15:26 2005/06/19


★5/1にご報告頂いた1600ヒットです(^o^)おまたせしましたm(__)m
 キリリクは彼女がスゴと仲良すぎてアッキン以上にハルちゃんと仲良くなる。だからアッキンが嫉妬する。
 そんなリクエストでした。
 いかがですか?感想お待ちしてます。
 お気に召して頂けたら幸いです(~o~)
 後ほどコボレネタをUp予定。