休みが続くのも楽じゃないな・・・・楽しいのは始めだけ、やりたいことがあるのも始めだけ。
  マンネリ化しつつある日常に嫌気がさしていた。

  ベットから飛び起きてあたしは洗面所に向かう。
  とりあえず顔を洗って、化粧水のボトルを取り潤い補給。
  鏡に映る自分を見て、あちゃ〜と思う。
  口元にニキビくん。ストレスかしら?それとも最近、運動せずに食べてばっかりだったからかしら?

  視線は上へ・・・・だいぶほったらかしの髪。プリン化。
  もしここが白雪姫の世界なら、鏡は絶対あたしを指名しないだろう・・・。
  最近、どうせあたしなんかって思うことも多かったしな〜。
  外の雲行きが妖しいのも、まるであたしを映し出すようだ。



        『流れる雲にゆだねて・・・・・』



   「よし!せっかくの休日を意味のあるものにしょうじゃない!!」

  ネガティブになりがちな日々とは、しばしサヨナラしょう。
  部屋掃除して、要る物・要らない物の整理をしょう!片付けて、気持ちもリセットしたい。

  でも、今のあたしはこの空間にいたら息が苦しくなってしまう気がした。
  大好きな彼らの載る雑誌や、ビデオやシングル・アルバム・グッズがこの部屋にはいっぱいあって。

  内面も大切だけど、さっき気になった外見からスタートしましょう。
  今のあたしにぴったりなTシャツにジーパンに着替えて。軽く朝兼昼食を済ませて。
  ひさしぶりにマイチャリを出して、念のため傘を持参して、サドルに乗ってペダルをこいだ。




  美容院で早速・・・・言われた。
  
     「ほっときすぎですよ〜パーマもせっかくかかっているのに勿体ないよ」

  あたしは苦笑する。スタッフの方は、

     「毛先に揃えるだけでも変わりますよ。さんに喜んで帰って頂きたいんで、頑張っちゃいますよ!」

  と、言ってメニューを差し出す。あたしはチョイスしてオーダーをした。


  ひさしぶりに人と会うから緊張するかと思いきや、チーフやスタッフと日常のこととか話が弾んでいた。
あたしって人見知り激しいから、知っている人でも抵抗あって・・・・。
  でも、なぜかあたしは想いを寄せる彼のことを自然と話せていた。
  やっと受け入れられてきた証だろうか?
  あたしは自然と笑っていた。
  いつもは周りの反応を伺って、無理に繕うようなあたしだけど。
  いつもは雑誌に無理して集中して、話しかけないで!なんてオーラ出しているだろうあたしだったのに。
  あたしは誰かに聞いて欲しかったのかな?


  カラーリング、シャンプー、トリートメント、そしてブロー。チーフはストレートにして行く。

     「洗えばパーマに戻りますが、良いでしょ?気分転換になるし」

     「そ・・そうですね。いいかも!」

     「女の人って得だと俺は思いますよ!ほらかわいさUPですよ」

  チーフに言われて、単純なあたしは笑顔になる。魔法の言葉をかけられてあたしは店を出る。



  
  帰り道、近くの音楽専門店の在庫をチェックに行く。今まで以上に気になるあの場所へ。
  店内に入ると、ミュージックビデオから流れるメロディに呼ばれて近づいていく・・・・・・・。

  ”サボテン”だった。

  ヴォーカルがメッセンジャーになり、ベースとギターがメロディに乗せてせつない恋人への想いを伝える。

  画面では3人が映っている。もう3人の姿を見ることは・・・・あたしは愛しの彼の名前をつぶやく。


  
  一方的な恋だったけれど。
  テレビではあんまりしゃべることのない人だけど。
  実は一番、音楽を愛していて。
  実は面白いとこ、かわいいとこもあって。
  2人とは違うこだわりを持つ彼。

  始めは・・・初めは・・・いや、今も3人が大好きだけれど、ラジオを聞いて、ライヴに参戦して、彼の魅力に気付いて恋に落ちた。

  気付くのが遅いって、後悔の気持ちもあるけれど。
  
  まさか、あのカウントダウンが生での彼を、3人での・・・・なんて予想も出来ずに。



  5月の会報で喜んでいたあの時。
  6月で彼の彼らの今後を知り、これからのファン人生に多大なる影響を受けたよなぁ・・・。
  ショックで何も手がつかなかったあの時。
  しばらくは周りのファンやホームページへのカキコを読み、意見を交わしたっけ。
  
  大好きな彼と彼らの決断。
  3人とも不安の中に出した3人のための。

  
  
  現実はテレビで映像を見る度に辛くて、情けなくも泣いたっけ。
  それでも、なんとか立ち直って・・・・
  "時間が解決してくれる"って、誰かが言ってたけどまぁそれも少しは手伝って。
  ベストアルバムリリースは好調で、こうして店頭の一番良いスペースのコーナーが作られている。


  アルバムチャートを塗り替えて、快挙を達成して。
  残された2人はとまどいを隠せず複雑なんだろうけど、ちょっと嬉しい。

  昭仁くんと晴一くんの2人のポルノグラフィティは5周年に向けて、いやもっと先を目指して前へ前へ頑張っているんだろう。
  初めてのことばかりの中、改めてTamaという存在をファン以上に感じつつ、世間への不安を抱きながらも。

  あたしは相変わらず、こうやって過去を振り返って淋しがったり、懐かしんだり。
  ひょこっとTamaちゃんに会えるんじゃないかって抱いてしまうけれど。




  店を出ると夕焼けが綺麗だ。
  流れる雲はどこまで続くのだろう?
  あたしはペダルをこぎ、家路へと向かう。
  歩き出した3人に追いつきたくて、背中を追うあたしだけど・・・。
  あたしはTamaちゃんが出した決断を、少しずつ理解出来るようになってきた。
  ポルノグラフィティのメンバーとしての10年、デビュー5年、30歳としての節目の旅立ち、船出を選んだこと。


  信号で止まり、再び雲を眺めて思う。
  あたしは・・・どうしたい?・・って。
  歩行者用の信号が青になり、ペダルに足を掛ける。


  あたしは・・・ずっと3人の味方でいたい。
  頼りないあたしだけど、いつも支えられていた3人の人柄から溢れ出す音楽の世界・・そこからパワーを貰っていたあたしだけれど。
  3人を、Tamaちゃんw好きな気持ちは誰にも負ける気がしない。
  Tamaちゃんが帰れる場所を、晴一くん・昭仁くんが表現出来る場所を、あたしが素でいられる場所をあたしは残したい!守りたい!


  なんだ、あたしはもう分かっていたんだ。
  今のあたしにとって大事にしたい答えが扉の向こうにあった。
  少し勇気がなくて扉を開けられなかったいくじなしかもしれないけどね。

  
  枝分れで別々の道を歩き出した彼らだけど、音楽という共通の道を進んで行く。
流れる雲にゆだねて・・・・あたしは今までの彼らを誇り、これからも彼らと共に生きていく。
  いつかまた会える日を信じて。


  枝分かれのレールが交わるか、繋がるか誰にも予想出来ないけれど。
  あたしの恋の行方も予想出来ないけれど。
  あたしはずっと彼を、彼らを愛して行きたい。
  "サヨナラ"の代わりに"行ってらっしゃい"と言うよ!
  だから、いつか"タダイマ"ってあたしの大好きな笑顔で言ってね!




  ーーーーー流れる雲は昨日も、今日も、明日も流れて行くーーーーー




    原案04/08/21完成09/23   UP8:50 2005/05/02