『ムービーモード』   







                  「待った?」


                  「ううん。さっき着いたとこじゃ」


 彼の仕事が早く終わって、オフになったからと学校帰りの久しぶりのデート。

                               
 あたしは高校3年生で、次の進路も決まって安心したとこ。

 彼は岡野昭仁。去年デビューして、デビュー曲アポロも大ヒット!年末はテレビに、雑誌の取材に忙しかった。

                               
 今は新曲のレコーディングも終わり、雑誌取材やテレビ収録があり忙しくなりそう。

 アポロに続き、新曲もタイアップ決まったし、離れて寂しいとこもあるけど、活躍が自分のことのように嬉しい。


                               
 そんな昭仁君との出会いは、知人の紹介でデビュー前の東京ライヴに参戦した時。

 あたしの一目惚れで、一方的なアタックだったけど、願は通じてお付き合いしているのだけれど・・・・・。

                                

                 「どうしたん?元気ないどー」


                 「えっ!大丈夫だよ。                                  ちょっとお兄ちゃんからメールがきてさ〜」


 と、あたしは彼に携帯を見せる。




  [タイトル:仕事終わった〜]

[本文:わかった。部活、無理するなよ。帰り道滑るから気をつけろよ(>_<)

                     
                                


 嬉しいんだけど、2人が付き合っていることはお兄ちゃんには内緒なんだよね。

 実は・・・親以上に過保護なんです。

 今までの恋愛も、心配してかデートに着いて来たときもあったし。

 悩んでいるときは、頼んでないのに相手にあたしの気持ちを伝えてリ・・・いいお兄ちゃんなんだけど・・・。


 今回は、住む世界のちょっと違う凄い人とお付き合いしてるし・・・彼にも迷惑かけちゃうから。

 彼にお兄ちゃんがいることは言えても、お兄ちゃんのことは・・・・



   「ちょっと心配性だから、
                 付き合っていることは、しばらく内緒にしてね」


 なんて、彼にお願いしたんです。

 だからお兄いちゃんにも、ファンにも、友達にも・・・内緒にするのは心が痛い。






           「昭仁君、UFOキャッチャー得意?」


       「なんか欲しもん、あるん?」


          「うん。あたし全然駄目なんだ〜」


       「じゃあ、わし取っちゃるよ!」


 2人で二階のゲームセンターに向かう。



                                 


      「うわ〜い!ありがとうvv 」

                               
 満面の笑みで、くまのぬいぐるみを抱き締める彼女。

 かわえぇのう。

 この笑顔が、わし大好き!

 きっと彼女のお兄さんも、そうなんかな?

 いつも、彼女と会っている時は彼女の携帯にメールとか入ってるし。

 わしも、お姉ちゃんがおるけぇ彼女のお兄さん想いもわかるんじゃけど・・・・


                               
 急に彼女が手を引いて、プリクラの機械まで行ってカーテンを閉めた。


「ど、どうしたん?」


              「お兄ちゃんがいて、目が合っちゃった!」

                    「えっ!」



 わし、どうしたらえぇ!?





 しばらくして、カーテンが開いて


                  「あっ、やっぱかぁ・・・部活終わっ・・・」

 も・もしかして・・この人がのお兄さん・・?

                  「・・・コイツ・・・誰?」
                            
 コイツって・・・わしのことよのぅ?

                  「せ・先輩だよ。さっきばったり会って、
                     記念に一枚撮ろうかと。ねっ??」

 と、彼女は苦笑い。わしは、ぎこちなく相槌を打つ。

                  「・・・・ふぅ〜ん。
                   俺の妹に変なことしてませんよね?」

                  「お兄ちゃん!先輩に失礼だよ!!」

                  「・・・初めまして」
                                
 お辞儀したわしと、彼女を交互に見て、何か言いたげなお兄さん。

                  「・・・じゃぁ、俺先帰るから。
                       飯、家で食うだろ?」

                  「うん」

                  「早く帰って来いよ!じゃ、妹のことよろしく!」

 と、お兄さんは念を押してその場を去って行った。

                    



                              
 わしは彼女の待つ車に戻る。

                  「飲み物買うて来るから待つとって」

 って、彼女を待たせてるから。彼女の好きなを持って。

 車に戻ると、彼女は携帯を見ていた。
 まぁた、お兄さんからメールか?と、思ったら聞き覚えのあるメロディ。
 わしは、彼女の携帯を覗いた。

                  「何それ!?・・・・わ、わしじゃん!!」


 そこには、この前テレビ出演した時のアポロを歌っているわしが映し出されていた。

                  「何か、照れるんじゃけど」

                  「ごめん・・自己満足なんですけど・・・」

 と、彼女は理由を話し始めた。

 幸福を噛み締めたい時、寂しい時に少しでも元気になりたい時にココを開くと。
 メールや、電話をしてたいけど、会いたいけど・・って思いが膨らんでききた時、ココを見れば少し開放されると。
 カメラのデータのムービーモードに切り替えると、いつでも会えるって。

 そんな思いでムービー録画していた彼女を知り、わしは思わず彼女を抱き締めた。


                  「わしと、お兄さんを想って
                   は隠してくれてるんじゃろうけど、
                   愛しくなってしもうたよ。
                   お兄さんに隠さずにと付き合いたい!
                   駄目?」

                  「お兄ちゃん、手強いかもよ?」

                  「大丈夫、わしらの愛は深いからのぅ。
                   わしがお前を愛してる気持ちは負けんよ!
                   にもお兄さんにも」
                      
                  「あたしだって、ファンの子達に負けないくらい、                   昭仁君好きだもん!!」

                                



 わしらはまだまだ、お互いに乗り越えなきゃいけないハードルがあるけど、乗り越えて幸せな生活を守っちゃる!
 まずは、ご両親よりものお兄さんから。

 でも、案外彼女のお兄ちゃん想いの方が手強いかもな〜。






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 原案2005/01/10の朝方の夢より。       UP 14:11 2005/03/22