『季節外れな花火』

「でね夏休みに友達と花火したんだけど、掃除してたら余ってた花火が出て来ちゃったの」

「えぇのぅ。最近花火やっとらんわ」

今電話してたのはポルノグラフィティのボーカル、岡野昭仁。
私はアッキンって呼んでる。
会えなくたってこうやって、繋がってるもんね。


彼はアルバム発売前の取材に大忙し。
最後に会ったのは八月かな?
横浜が終わってから、それからまたツアーがあって会っていない。

もう11月で、日が暮れるのも早くなって来た。
冬の訪れを知らせるような北風が冷たい。
今日は買い物終わったし、このまま帰ろうかな?






あっ、電話だ。

「はい、もしもし」

「お〜、。今日は予定ある?オフ日なんよ。わし」

「私も休みだよ、今家に向かうところ」

「この間花火余ってるって言ってたじゃん。あれ今日やらん?」

「…本気?」

「嫌ならええんじゃけど」

「(えっ、もう秋も終わりですけど)…いいよ」









、久し振り」

「久し振り。時間通りだね」

「うん。さてと始めるか」


と言う声で二人は花火を始める。




初めは大人な二人がやってるもんだから、なんか遠慮気味だったけど段々子どもの時に戻った気分になってはしゃぐ。
打ち上げ花火はないけれど、それなりに楽しい。


余ってた花火だったから数も少ない、ラストは線香花火。
ロウソクの火に近づけると綺麗な火花を散らす。
しゃがんで、しばらく火花を見つめる。
綺麗だけど、なんか切ない…。

それはそろそろ楽しい時間も終わりを告げるからかな?
この線香花火が…。


くしゅん


「大丈夫?」

「も〜アッキンが花火やろうなんて言うから」

と私はアッキンのせいにする。

「のわりには、わしより楽しんどるじゃない?」

だって、二人でやれて楽しいんだもん!
嬉しいんだけど、

「こういうのは楽しんでなんぼでしょ?」

と照れ隠し。


「だいたいこの季節に花火しょうなんてのが…」

 そういいかけると、アッキンが微笑んで私の唇に人差し指を当てる。

  「ええじゃんこうやって寄り添ってたら温かいじゃろ?」

とアッキンとの距離が縮んで、触れ合う肩から体温が伝わる。

「…温かいね」




冬を告げる花火は夏とは違った美しさを見せる。
そして、夏とは違った時間と距離が生まれる。



季節外れだけど、それもまた悪くはないものだね。



「また、やろうのぅ」

「うん」



そんな約束を知るのは二人と夜空を照らす月だけ。





0610201109キリ0807