「もぅ、帰る」

「あっ、そう」

「…いいよ、もぅ…」

そう言って彼女はわしの元を去って行った。


些細なことだった。
いつもならこんなことじゃケンカしない。
だけど、今日は二人に余裕が無かった。
それはたった15分前のことだった。



**『十五夜 side H』******************************************************************************



「晴君。来ちゃった」

「来ちゃったって…のぅ…今何時だと思ってるの?!」

「22時」

「……わしが家にいなかったら、どうするつもりよ」

「だ…だって会いたくなったんだもん」

その言葉を聞いたらいつもなら、頭を撫でていただろう。

「ちょっとなら…えぇよ」

とわしは彼女を家に上げる。





取り敢えず砂糖入りのコーヒーを入れてあげた。

「ありがとう。ねぇ、今夜泊まってもいい?」

「…明日までに仕上げなきゃいけない仕事があるんよ」

嘘じゃない、ちょっと離れた所のテーブルには仮歌詞の未完成の詞がある。

「私、家出して来た」

「はぁ?」

「就職先がやっと決まったんだから、仕事に専念しろって言われたから」

「…まぁ、のこと思って言ってくれたんじゃろ?」

「そうだけど…晴君と二度と会うなって…」

「それはわしらの問題じゃろ?!」

「そうだけど、私にとって晴君なしの生活は考えられない!」

「…仕事も頑張るよ。
両立したいよ…だけど、最近デートキャンセルになること多いし、メールしても返信してくれないじゃない!」

「それは仕事で返信が遅れるだけで、埋め合わせだってする努力はしてるよ」

「…でも、わかってるけど。遠距離は辛いよ…。」

「でも、わかって付き合ってるじゃろ?わしら」

「芸能人にはわからないよ!」

と彼女は感情を剥き出しにわしに告げた。






芸能人…彼女からしたら、そうだろう…。

だけど、は今まで仕事と普段のわしを見て理解してくれてると思っていた。

わしは、交わす言葉が浮かばない。

10分の沈黙。
沈黙を破ったのは、だった。






「もぅ、帰る」

「あっ、そう」

「…いいよ、もぅ…」

そう言って彼女はわしの元を去って行った。






わしは、追い掛けなかった。
今からなら、終電に間に合うだろう。


わしは、明日までに仕事を仕上げなきゃいけん。
彼女だって、日頃のイライラが爆発しただけだ。



わしは、再び机に向かってペンを持つ。



でも…歌詞が浮かばない。
浮かぶのは……。



わしは、家を飛び出していた。
わしは、なんで彼女の淋しさを悩みを受け止めてあげられなかったんだ?
彼女はわしより年下で。
受け止めて欲しくて、わざわざわしに会いに来たんだとしたら。



空を見上げると、満月が出ている。
走りながら、見上げる月を黒い雲が隠して行く。


"待ってくれ!彼女に会うまで!"


曲がり角を曲がるとが歩いている姿が見えた。






「帰るなよ」

「晴…君」

わしは彼女に近づいて、抱きしめる。


「ごめん」

「私こそ、感情的になってた。…晴君のことわかってたつもりに…」

「もぅ、ええんよ。今度はちゃんと話し合おう」

そう言って、身を離してわしは彼女の手を握る。

「うん」

「あのさ、わしんちに今夜泊まってもええよ。じゃけぇ、家には電話しなよ。」

「うん、私仕事も恋も頑張るよ」

とわしらは並んで、家に戻る。





わしのかぐや姫は月に帰らなかった。

間に合って良かった。

月を隠していた雲もどこかに流れて、十五夜の月が道を照らしていた。





                                      
                                     E N D


原案05/09/14            UP05/09/17




☆ラ「第二弾のゲストです」
 晴「どーも。新藤です。」
 ラ「今回のヒーローいかがでしたか?」
 晴「なんで、わし悲しめな始まりなんよ」
 ラ「哀愁漂ういい男だからv」
 晴「よー言うわ!使うとこ間違っている気がするし」
 ラ「んでもって素直に言葉と行動に出せる。演技者だし〜」
 晴「わしのファンはどう思うのかね?」
 ラ「どうかね?ぜひ感想よろしくね☆」
 晴「Iも感想教えてね。まずはわしにv」
 ラ「・・・まっ、いっか。お幸せに☆」