「、悪いのぅ〜、今日は当てられたけぇ。助かったわ」

  「えぇよ。役に立って良かったわ」

 

  あれから続く教科書のやり取り。
  さすがに連続ってわけでなく、かと言ってうちも話し掛ける話題もきっかけも勇気もなかった。
  晴一がうちに用がなきゃ、話すきっかけも出来ない。



                『いじわるな落書き 2』


 「新藤〜!明日朝練だってよ」

 

 「おぅ!わかった〜」

 
  と晴一と廊下で話しとるとうちのクラスの野球部員が晴一に声をかける。

 
 「野球続けてるんだ」

 「うん。大会近いけぇ、練習きついわ」

 「そっか、よぉ頑張ってるね」

 「見に来ん?それもきついよのぅ」

 「起きるのが?」


  …あっ…!


 「フフフッ」

 「なんよ?、急に」
 「ちょっと昔のこと思い出してね、ンフフ」

 「変なの〜」


  だって、前にも言ったんじゃもん。
  そのセリフ。


 「前にも晴一に同じこと言われちょって、
  同じように答えたんじゃもん。
               じゃけぇ、ごめんね」

 「わしら、成長しとらんの?」


  顔を見合わせて二人笑い合う。
 



  それから晴一とは話すことが増えた。
  教科書が無くても、時々朝や昼や帰りに挨拶程度にちょっと話したり。
  そんな小さなやり取りが、うちには心地良かった。



  朝練は無理だけど…
  うちは夕方フェンス越しに野球部の練習を見に行ってみた。


  キャッチャー目掛けて、真っ直ぐ投げる姿。
  バッターボックスに入れば、打って一塁に走る姿を追い掛ける。
  中学の時は隣同士だったんに、うちは知らなかったんだ。
  こんな姿さえ。
  前にもこんな風に見る機会はあっただろうにね。


  「〜、ちょっと今日付き合ってくれるんじゃなかったん?」

  しまった、友達の買い物付き合うんだった。

  「あっ、今行くわぁ〜」

  晴一が走る方向とは反対にうちは夕焼けの下を走った。


                           続く・・・



原案 06/11/21       UP 06/11/28

 ☆きっかけって大事やねぇ〜、それがあれば前進しやすい。
  さてちゃんと晴一君の関係は?
  次回をお楽しみに