「話って何だろ?」


これから晴一さんとマネージャーさんが、ここに来るという。
ホテルの一室で彼らを待つ。


『ドアをノックするのは誰だ?』



あたしが晴一君を知ったのは『ミュージック・アワー』の頃。
ラジオのようなコンセプトでアドバイスしていく歌はあたしに衝撃を与えた。
前からバンドの存在を知っていたけど、この詞を書いたハルイチさんに会いたいと思った。

実際にラジオでの三人は歌っている時やライヴとは違った楽しみをくれた。
ただ知る度に、あたしは恋心を抱くようになった。

相手はミュージシャン、ファンの一人だったあたしと接点はない。
ラジオの前で同じ時間を過ごしても、DJとリスナーという立場は変わらなかった。

勝手に実り咲いて弾けた時、それは悲しい物となった。
一方通行の恋。
相手の気持ちは一向に分からない。


その切なさを紛らわすように、あたしは夢だったラジオのDJとなるため練習を繰り返し試験も受けた。
受け続けた二年後番組を担当させてもらうようになった。
DJになってから、私情は持ち込んではいけないと気持ちは封印した。
ファンということは変わらず恋は愛に変わりつつあった。




そんなある日彼らのアルバムリリースをきっかけに、番組のゲストに一ヶ月来ることになった。

「初めまして、担当のです。よろしくお願いします」



回数を重ねる頃に話す回数も増えていった。



「そっか、わしらのラジオ聞いてくれてたんね。嬉しいのぅ、昭仁」

「そうね。それがきっかけでこうしてちゃんに会えたし」




「えっ?アドバイス?わしは噛みまくるしな〜、今やってる晴一はなんかないん?」

「わしも噛みよるし。まぁ楽しく、気持ち込めてやっとればええよ。わしこそ教わりたいわぁ」







そのうちラジオをきっかけにあたしは彼らと食事をする仲になった。
マネージャー同伴だけど。
何回会っても二人のかっこよさといいお兄さんぷりは変わらなかった。





「なんかちゃんは変わらないのぅ。どっかアホっぽいとこがまたいいんよ」

「それって嬉しくないんですけど、昭仁さん」

「いや、ある意味くすぐるわけよ」

「も〜晴一さんまで」



と三人になる時はどうにか会話も出来た。
でも、帰り際や晴一さんと話している時は切なさとも戦っていた。







*****************************



今日もマネージャーが来るはずだった。


トントン



「はい」

「わし、新藤じゃけど」

少し元気の無い、晴一sんの声。


「どうぞ…どうしんですか?」


来たのは一人。


「なんか会いたくなって」


「なんかルームサービス取りましょうか?えっと」


あたしがメニューを見ようと手を伸ばすと


「いらん」


と後から晴一さんから抱きしめられる。




あたしが黙っていると


「嫌がらないの?」

「…嫌じゃない…ですから」

と答えるとあたしを向き返らせて

「それは友達だから?」

と聞く。



でもそれは封印した気持ち、それを言ったら…。



晴一さんの唇が近づいて来てあたしの唇を奪う、それは気持ちを抑えられないような熱いKiss。


唇を離した晴一さんの顔がはっきりと見えてくる。

視線が絡み合う。

耐え切れなくなった、あたしが視線をそらす。

気のせいかな?

晴一さんの視線が痛い。

本気の眼。



「ど…どうしたんですか?」


あたしの問いかけに、晴一さんは答えてくれない。


おでこにほっぺに首筋に落とされていくKiss。


「ちょっと待って、落ち着いて!」

「晴一さん!晴一さん!!晴一さんってば!!!」


何度か呼んだあたしの声が、彼の耳に届く。


あたしから身を離して


「ごめん…わし、どうかしてたわ」


と床に座り込む。



大きな背中が、どこか小さく見えた。

あたしは床に膝をつけて彼を抱きしめる。

微かに震える彼の頭を撫でながら


「何があったか知らないですが、あたしはずっと味方でいますよ」


「・・・・傍にいてくれるん?」


「うん。離れたくないです」


「たまには仕事抜きで会って、わしだけのでいて欲しいんよ」


「そんなこと言われたら、あたし好きを止められなくなりますよ?」


「だって、時々わしを見る切ない視線にもう耐えられんよ。わし」



ここにはDJとアーチストはいなかった。
恋する男女だけ。


「あたし今更ですけど、すごい人好きになっちゃいましたね」

「好きにさせたんじゃから、覚悟せぇよ」

「?」

「スキャンダル」



きっとこれから大変な日々が待っているのだろう。
でも、二人なら大丈夫かな?
芸能担当の皆様、事務所の皆様、ファンとメンバーの皆様もう少し私達をそっとしてちょうだいね。



                                   END



原案  06/11/12〜11/15   UP 07/02/03

 こんにちは、もしかして企画以外では初の夢からの原作です。
 楽しんで頂けましたか?

 最近、また彼らの夢も見るし過去の夢ネタもありますのでUP可能かもv
 感想きかせてくださいませ☆