『チェンジ☆6話』
「晴一さん、珍しいですね。この時間での参加」
「おぉ…すまん。ちょっと用があってのぅ…さぁ、参加しますか」
と晴一さんはバックをベンチに置いて、走り込みをスタートする。
あっ!ポンプさんと…昭仁さん!!
生昭仁さんだぁ…。
バックのポケットから顔を出す。
あたしって…と数分後に悲しみに包まれたけど。
あたしはそれを考えないようにして、昭仁さんを目で追い掛けた。
「じゃ!!今日の練習終わり。お疲れ様でしたーっ!」
と監督の声に練習が終わる。
晴一さんは昭仁さんに声を掛けた。
「お疲れー!昨日は差し入れサンキュ」
「おぉ!」
「昭仁、これから時間ある?相談あるんじゃけど」
「大丈夫だけど…急に何よ!?」
「ちょっと…昼頃わしんちに来いや!じゃあのぅ」
と振り返って手をひらひらさせる、晴一さん。
ポケットのあたしにニコっとスマイル。
残された昭仁さんは"?"が頭によぎったようだが、何も言わずに晴一さんと逆方向へ歩き出した。
少しずつ遠くなる昭仁さんの背中を、あたしはただ見つめていた。
「何んて顔してんのん?これから愛しの昭仁君に会えるんちゅうに」
とシャワーを浴びてすっきりした晴一さんが、あたしに声を掛ける。
ここは晴一さんの自宅。
ダイニングテーブルの上で、座り込みボーっとしてたあたし。
「晴一さん、本当に来てくれるんでしょうか?信じてくれるんでしょうか?受け入れてくれるんでしょうか?」
「わからん!わし、神様じゃないし。じゃけ、そんなん考えとったら進まんぞ」
「……」
「昭仁を信じてあげんちゃいよ!テーブル拭いてくれる?」
あたしの頭を優しくポンポンと撫でて、笑顔で励ましてくれる晴一さん。
あたしはさっき考えていたマイナス思考を一時忘れて、テーブル拭きに専念した。
ピンポーン
「はい」
「晴一、わしじゃけど」
「今手が離せんけぇ、入って来て〜」
とインターフォン越しに二人は会話する。
昭仁さんがドアを開けると、スゴロクが熱烈歓迎。
あぁ…スゴロクが羨ましいよぉ〜。
スゴロクを抱き抱(かか)えてリビングに入って来た昭仁さんを見て思う。
晴一さんは出来上がった炒飯(チャーハン)を皿に盛りテーブルに並べて、席に座るように声を掛ける。
「何ね?相談って」
と椅子に座って昭仁さんは問う。
「まぁまぁ。昼飯まだじゃろ?晴一特製炒飯食べてみぃ?」
あたしはテーブルに置かれた時計の裏で、炒飯を頂く。
二人も食べ始めた。
「腹が減っては何とやらじゃん!おいしいもの食べると元気になるじゃろ?」
と晴一さんは時計裏のあたしを見て声を掛ける。
あたしはそんな晴一さんの心配りに胸がいっぱいになる。
本当に炒飯がおいしい、笑顔になってしまう。
「誰に言ってんのん?晴一…」
と昭仁さんのスプーンが止まる。
晴一さんはちょっと慌てつつ、冷静を装い答える。
「そりゃぁ…昭仁やスゴロクやわし自身。まぁ、冷めないうちに食べようや」
そんな二人を見守りながら、"ややこしくしてごめんなさい"と思ってしまうあたしだった。
食後、晴一さん特製のアイスコーヒーがテーブルに置かれる。
昭仁さんが口を開く。
「晴一、さっきの炒飯うまかった。ありがとうのぅ!」
「たまにはええじゃろ?昨日の差し入れのお礼みたいなもんよ。
スタッフのみんな喜んでたし、わしも仕事の一杯楽しませてもらったし〜」
と会話も弾む。
しばらく話した頃晴一さんは時計の裏のあたしを見てアイコンタクトを送る。
"そろそろえぇ?"と言いたげな…。
このまま二人を見ていられたら、どんなに幸せか。
一番理解してもらいたい人、受け止めて欲しい人の前に出るのは思っていたよりも大変だった。
あんなに願って、や晴一さんに助けてもらって、こんなにも近くに…。
近くにいるんだ…。
あたしは晴一さんにOを手で大きく作り頷く。
続く…
原案04/07/09/〜9/19 up05/09/06
*お待ち兼ねのヒーロー登場です。
ヒロインの君はナレーターのようでごめんね。
でも、こんな状況じゃなきゃ二人の姿はいいよね。
とは言ってもあたしはFちゃんの恋を応援するからね!頑張れ!