玄関の鍵を急いで開けると、わしは夢中で彼女を探した。


ちゃん!ちゃん!」


あっ!
いた!
彼女はソファの所で眠っていた。


泣きながら眠ったのか、涙の跡が残っている。


「…良かった。間に合った…」

わしはすぐに晴一に彼女のことを知らせて、愛しの眠り姫の頬に口付けをする。
そして、彼女が眠りから覚めるのを待った。




『チェンジ☆12話』


あたしは目が覚めると「ただいま」と優しく微笑む、大好きな人に迎えられる。

あたし…いつの間に眠っちゃったのかな?
寝顔…ずっと見られてたんだろうか?

昭仁さんは手を出して

「ちょっとそこの公園まで、散歩でもしない?」

と誘った。






「星…キレイじゃね。月も…キレイじゃあ〜」

公園のベンチに座って、彼は呟く。
少し、丘の上にある公園。
夏なのに今日は風も涼しい。

ちゃんの地元は、東京(ここ)より
 もっといい景 色なんかのぅ?わしんとこもキレイよ」

「輝き方が違うかもしれないですね。
地元は都会の明かりより、星や月が近いかもしれないです」

そう答えながらも、"昭仁さんもどんどん輝きを増して素敵ですよ"っと心の中で思いながら。





「行っちゃうん?」

ベンチの背もたれ部分に座るあたしに、淋しげな視線を向けて昭仁さんが言う。

「……晴一さんから聞いたんですか?
本当にキューピッドのように頑張ってくれて。
…なんだか申し訳…ないなぁ。優しすぎて…もったいないです」


…って答えながらあたしは涙が出てしまった。


笑顔でさよならしょうと思ったのに。



ちゃん…顔…もっと近くで見せて」

と昭仁さんがあたしに、声をかける。

あたしは涙を拭き取り、力を振り絞って顔を上げて彼に向き直る。




!!!



昭仁さんの顔が近づいて来て、口付けを交わす。



少しずつ変わる景色。



「行かないで!これ…今のわしのほんまの気持ち」

「…あたし…ずっと…好きでした。でも、あたし…」



願ってたことなのに…。


再び、あたしはどうしたらいいかわからなくなった。



「わし、君といた二週間とっても楽しかった。
姿は小さくなってしまって、そのことで臆病になってしまう、不安なこともあったろうけれど。手紙のままの君だった」

あたしは黙って彼の話を聞く。

「君のこと好きになった。
もっと傍におりたいって思った。
君に伝えるのは時間がかかってしまったけれど…。
わしはもう、ちゃんの力になれん?今頃…迷惑なん?」

あたしは返事が出来ない。



…願っていた結末なはず…じゃない?!



「でも…あたしはこんな姿で。
 …おまけに一般人で…ファンの一人で…」

「わし…芸能人の一人だろうけど、30歳の普通の男よ。
 普通に恋に落ちたらいけんの?わしは今も君が…ちゃんが好き!!」


あたしは、キューピッドの言葉を思い出していた。
東京で過ごした日々も。


もう、ズルイ女だって思われてもいいと思った。
例え二人でいられる時間が残り少ないんだとしても。
こんなにも考えてくれる人って、もう出会えないんじゃないか!?


「ありがとう…ございます。
 あたしもずっと一緒にいたいです。昭仁さんのこと大好き!!」


あたしは本当の気持ちを、飾らない笑顔で答えた。






『もう、必要ないね。二人には…』





聞き覚えのある声が空から聞こえて来た。
あたしは夜空を見上げた!



「あ…あなたは…あの時の!!」

『恋の成就への精進どうだった?』


とあの時の天使が笑顔で答える。
そして…


『おめでとう!!二人とも手を離しちゃ駄目だよ』

と言うとあの時よりも強い光があたし達に降り注いだ!










ちゃん!ちゃん!」

あたしは名前を呼ばれてゆっくりと目を開ける。
昭仁さんとの距離が近い!!
あたしの顔はみるみるうちに、赤くなる。
そんなあたしを見て彼は「お帰り」と言って手をぎゅっと握ってくれた。

あたしの手にぴったりな感覚!!

「あ…あたし…元に…元に戻った!?」

頬を思いっきりつねると痛い!
ポロポロと温かい止まらぬ涙。

「良かったのぅ!」

って彼が言ってくれて、思わず笑った。





「帰ろうか!取り敢えずわしんちに」

と昭仁さんは左手を差し出し、あたしは照れつつ右手を重ねる。





歩きながら昭仁さんは、あたしが目覚めるまでを話してくれた。

「天使みたいなのが見えた時、何が起きようとしてるんかわからんかったけど。
眩しい光に思わず目を閉じてしもうて、開けたら…」

とあたしを見つめて

ちゃんが、空からゆっくりと柔らかい光に包まれて降りて来たんよ」

「あ…あたしが!?」

「そう。わし、受け止めたら光が消えて元のちゃんが近くにおったわけよ」

そう言うと、足を止めてあたしを抱き寄せる。


胸ポケットの位置に、あたしの顔が引き寄せられる。
温かい。
あたし元のサイズに戻れたんだ。


「昭仁さん…どうしたんですか?
そんな強く抱きしめなくても…消えませんよ」

「昭仁って呼んで!
もう、わしの彼女なんじゃろ?は」

と耳元で優しく囁く。

「はい。
昭仁…あたしは傍にいるよ」

と返事して、大きな背中を抱きしめた。







おしまい



原案04/07/09〜09/19   up05/10/20







晴「キューピッドのわしは出とらん」
ラ「いいじゃない。終わり良ければ…で終わったもん。二人ともお幸せに☆」


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